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家族信託
家族信託Q&A~全ての財産を信託してもよいか?~
家族信託の相談を受けていると、依頼者から、
「全ての財産を信託してもよいですか?」
と聞かれることがあります。
理論上は、信託設定時に、委託者が保有する全ての不動産、現金、動産、自動車、債権等の財産を信託することは可能ですが、信託は財産権の移転を伴うため、全ての財産を信託することは現実的ではありません。
委託者の財産のうち、現時点で、管理・運用を任せたい財産を信託することになります。
また、年金受給権のような、いわゆる一身専属権については信託することができないので、注意が必要です。ただし振り込まれた年金については、追加信託することにより信託財産とすることが可能です。
例えば、以下の事例で考えてみましょう。
[事例概要]
本人:68歳の芦屋市在住の男性で、妻と子供が二人(長男・長女)いる。
財産としては、自宅とアパート、現預金が6,000万円保有している。
妻:66歳で、軽度の認知症を患い、自宅に居住しながらも、近所のデイサービスを利用している。
長男:父の自宅から比較的近いところで生活しており、父母のサポートは長男がしてくれると言ってくれている。
長女:30年以上前に結婚し、東京で暮らしている。
本人の希望:
①自宅の補修や、アパートの管理については、今も長男が手伝ってくれているし、今後も任せたい。
②自宅については、私が先に亡くなっても、妻が希望する限り、自宅に住まわせてやりたい。妻が住めなくなり、高齢者施設に入居するタイミングで、売却して、売却代金は妻の今後の生活費に充てたい。
③長男と長女には、あまり自分たちのことで迷惑をかけたくないが、長男夫婦が、「いつでも頼ってくれ」と言ってくれているので、もしものときには頼りたい。
④長男と長女の関係は良好で、自分たちの財産のことで揉めることはないと思うが、余計なしこりが残らないような準備だけは、親としてしっかりしておきたい。
このような事例は、実際はよくあります。 検討すべき点が多々あります。
[検討すべき点]
- 家族信託・遺言・財産管理委任契約・生前贈与・任意後見・死後事務委任契約から、どの方法を選択肢、どのように使うか。
- 何か対策が必要なのは、本人である父だけで良いのか?妻も必要ないか?
- 妻の「軽度の認知症」とは、どの程度のものか?
- 本人である父と妻の相続時の税金はどれぐらいかかるか?相続税対策は必要か?
- 自宅とアパートを家族信託で対策する場合、現預金も一部、信託財産に組み入れる必要があるか?
- 家族信託しない財産については、どのような対策が必要か?将来入ってくる年金はどうする?
- 長男と長女に将来揉めて欲しくない場合、どのような配慮が必要か?
など、相続対策・認知症対策・終活では、検討すべき点が多々あります。
冒頭でも触れましたが、このような事例でも、
「全ての財産を信託してもよいですか?」
と聞かれることがありますが、もちろん、答えは「NO」です。
もし仮に、本事例で、自宅とアパートを家族信託で対策する場合は、現金の一部を信託財産に加えておくことが好ましいでしょう。
実際に、自宅やアパートの管理には、毎年、一定の金銭を要します。固定資産税・都市計画税も毎年発生しますし、火災保険等も必要ですからね。
上記の他の検討すべき点については、また別記事で触れるようにいたします。
司法書士法人entrustでは、「家族信託をしたい」というご相談をいただくことが多いですが、面談時には、家族信託・遺言・任意後見・死後事務委任契約等の各制度のメリット・デメリットを説明し、最終的に相談者にご判断いただくようにしております。
結果的に、家族信託を選択される場合であっても、前述のとおり、実際は、全ての財産を信託することはないため、信託しない財産については、別途、遺言や任意後見などで、相続対策・認知症対策を行うことがほとんどです。
「家族信託や遺言のこと、もっと聞いてみたい」
「自分たちには、どの制度が適しているのだろう」
「将来の財産管理や承継のことで不安を感じている」
「昔、遺言書だけを作成したが、見直したい」
と思われたら、ぜひお気軽に司法書士法人entrust(エントラスト)へお問い合わせください。
弊所は、司法書士事務所ですが、別の司法書士事務所から「お客様の信託の相談にのって欲しい」とご紹介いただくことも多いです。
相続対策・認知症対策のセカンドオピニオンも大歓迎です。
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