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2023.09.06

成年後見

任意後見契約の類型(将来型・移行型・即効型)

任意後見契約には、3つの利用形態があります。

それは、①将来型②移行型③即効型です。

実務で多いのは、将来型と移行型です。

①将来型

将来型は、将来、本人の判断能力が低下した時点で、任意後見契約の効力を発生させて、任意後見人による支援を受けようとする利用形態です。

言い換えると、元気で、自分でしっかりと財産管理できる間は自分で管理をして、将来、判断能力が低下して自分で管理できなくなったときに、初めて任意後見人が財産管理をする、という形態です。

この将来型では、任意後見契約を締結して、効力が発生するまで、長期間にわたる場合が多いので、「本人の判断能力の低下」をいかに把握するか、そして判断能力が低下したときに、速やかに任意後見契約を発動させることが重要となります。

②移行型

移行型は、財産管理委任契約と任意後見契約を同時に締結する契約形態です。

「将来型」と異なるのは、本人が判断能力を有している間に、任意後見受任者に、財産管理・身上監護事務を任せる、という点です。

そして、本人の判断能力の低下後は、受任者の事務処理を中断することなく円滑に任意後見に移行し、任意後見監督人の監督下で、受任者は事務処理を行います。

任意後見契約の類型の中では、この移行型の利用が最も多いです。

財産管理委任契約から任意後見契約への移行は、本人の判断能力が低下した段階で、受任者等の申立てによって家庭裁判所で任意後見監督人が選任されることによって行われます。

財産管理委任契約と任意後見契約の2つの契約が重複しないように、任意後見監督人の選任より財産管理委任契約は終了する旨の条項を公正証書に記載しておく必要があります。

2つの契約を重複させないようにするため、受任者や任意後見人への報酬が重複することはありません。

③即効型

即効型は、任意後見契約締結直後に契約の効力を発生させる契約形態です。

認知症には程度があるので、軽度の認知症等で、補助や保佐の対象となり得る人であっても、契約締結時に意思能力があれば任意後見契約を締結することが可能です。

この場合は、契約締結後、直ちに、委任者又は受任者の申立てにより任意後見監督人を選任し、任意後見人による財産管理が行われます。

ただし、この即効型は、本人に任意後見契約の内容が理解できるほどの判断能力が残っていることが前提となりますので、既に判断能力を喪失されている場合は利用できず、法定後見制度を利用せざるを得ません。

その他、この即効型には様々な問題点もあるので、実務での利用は限定的です。

以上のように、任意後見契約には3つの類型があり、特徴があります。

理想的な類型は、②の移行型です。

移行型は、前述のとおり、本人が元気な間に、財産管理委任契約により受任者の財産管理が開始するので、本人は受任者の仕事ぶりや人柄を事前に確認することができ、

「あれ?思っていたのと違うな・・・」

と感じれば、契約を解消することも可能です。

また、任意後見契約や財産管理委任契約と似たような制度で、他にも「見守り契約」「死後事務委任契約」「家族信託契約」などがございます。

それぞれの制度にはメリット・デメリットがあり、また、様々な特徴もございます。

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