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2023.07.25

会社設立

株式会社と合同会社の違いは?

これから創業する方や個人事業主をされていて法人化(法人成り)を検討している方にとって、設立する会社の形態を「株式会社」と「合同会社」どちらが良いのか、両者の違いを知りたいところだと思います。

他の会社形態としては、「合名会社」や「合資会社」もありますが、現在はほとんど使われることはないため、ここでは除きます。

●所有と経営の分離

株式会社と合同会社の最大の違いを一言でいうと「所有と経営が分離しているか否か」です。

株式会社は、基本的に出資をする人(株主)と経営をする人とは別の人で構成されるものとして制度設計されているのに対し、合同会社は、出資をする人(社員)=経営をする人でなければなりません。

そのため、お金は出す(出資はする)けど、会社の経営には関与しない、という方がいる場合、必然的に株式会社を選択することになります。

※株式会社においても出資者と経営者が同一人物(一人株主)とすることはできます。

●株式会社を設立するメリット

①社会的信用度が高い

株式会社は合同会社に比べて認知度が高く、社会的信用度が高いといえます。

そのため、人材採用の募集や金融機関からの融資など、さまざまな面で合同会社や個人事業主よりも有利といえます。

②資金調達

株式会社は、株式を発行することで配当金などを目的とする投資家から幅広い出資を募ることができます。

③間接有限責任

有限責任とは、「会社の債権者に対して出資額を限度として責任を負うこと」をいいます。

つまり、会社が倒産すれば出資したお金は失ってしまうものの、出資したお金以上の支払義務も発生しません。

株式会社の株主は債権者に直接責任は負わず、出資した会社に対して出資額だけの責任を負う「間接有限責任」になります。

④法人の節税メリット

株式会社も合同会社も法人税上の普通法人であり、節税メリットにその差はありません。

●株式会社を設立するデメリット

①設立費用が合同会社より高い

株式会社は合同会社に比べて、法定の手続費用(定款認証費用・登録免許税)がだいたい14万円程多くかかります。

②ランニングコストがかかる

株式会社は毎年決算期ごとに決算公告を行わなければなりません。

通常、官報により公告を行いますが、7万5千円程の費用がかかります。

ただ、実際に毎年決算公告をされている会社は、そんなに多くは・・・・・・。

一方、合同会社は決算公告の義務がないため、公告費用はかかりません。

また、株式会社は役員(取締役・監査役等)に任期があります。最長でも10年と定め

られているため、役員の任期が到来すれば、改選の登記手続きが必要です。

役員に変更が無い場合であっても役員の重任登記をしなければならず、登録免許税が1万円(※)かかります。

※資本金の額が1億円を超える場合にあっては、登録免許税が3万円かかります。

一方、合同会社の役員(業務執行社員・代表社員)には任期が無いため、任期満了に伴う変更登記は必要ありません。

●合同会社を設立するメリット

①経営の自由度が高い

合同会社は出資者(社員)=経営者であるため、意思決定をスピーディに行うことができます。

また、出資比率に関係なく利益配当を行うことができることが合同会社の特徴です。

例えば、優秀な社員については利益配分の比率を高めるなど、自由に調節することができ、経営の自由度が高いことがメリットです。

一方、株式会社は、種類株式を発行しない限り、出資比率に応じた利益配当がなされます。

さらに、合同会社は株式会社よりも定款の内容を自由に定めることができ、個々の事情に応じた定款を作成することができます。

②設立費用とランニングコストが安い

前述のとおり、設立時の費用もランニングコストも、合同会社は株式会社と比べて安く抑えることができます。

③間接有限責任

合同会社の社員も株式会社の株主と同様、間接有限責任を負います。

出資した以上の額の支払い義務を負うことはありません。

●合同会社を設立するデメリット

①社会的信用度が低い

近年、合同会社の設立件数は増加傾向にあります。有名なところでは、Apple社の日本

支社である「Apple Japan合同会社」やAmazonの日本支社である「アマゾンジャパン合同会社」など、これらの企業も日本法人の形態として合同会社を選択しています。

しかし、世間的には合同会社という名前はまだまだ浸透しておらず、そのため法律上は同じ法人格でありながら、合同会社は株式会社に比べて信用度が低く思われてしまうケースがあります。

②資金調達方法が限られる

合同会社には株式会社と異なり、株式という概念がありません。

そのため、株式を発行(増資)しての資金調達はできず、国や自治体の補助金・助成金や借入(融資)が中心となり、資金調達の範囲が大きく限定されます。

③上場できない

株式会社は上場して事業拡大を目指すことができますが、合同会社の場合は上場することはできません。

ただし、当初合同会社を設立して、将来的に株式会社に移行(組織変更)することは可能です。

しかし、その際には登記にかかる登録免許税や官報公告費用がかかってきますので、上場を考えているのであれば最初から株式会社を選んでおく方が良いかもしれません。

以上のように株式会社、合同会社にはそれぞれのメリット・デメリットがあります。

ご自身が考えておられるビジネスプランや業種、事業規模に適した会社形態を選択されるのが良いでしょう。

長々と記載しましたが、結局どっちがいいのかわからない、という方はご連絡ください。

司法書士法人entrustでは、株式会社、合同会社共に数多くの設立に関するご相談を頂いております。

実際にご依頼いただく割合は、株式会社が9割、合同会社が1割です。

これから会社を設立しようとお考えの方は、ぜひ一度お気軽にご相談くださいませ。

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